たぬ代の日常

「え～っと。午後はあれしてこれして…」

屋敷を揺るがしながら忙しそうに
歩き回るたぬ代…。
その重量級の体が一歩踏み出される
度に、まるで地震かのように地面が
揺れた。

「なんじゃ。せわしないの～～」

「も～。葛の葉さんも暇なら手伝って下さいよ～」

葛狐の暇潰しで廊下に縮小転送された都市…。ホコリと見間違えるような
灰色の部分にも沢山の人々が暮らしていたが、たぬ代の汗をたっぷりと
染み込ませたゴミだらけのきったない足袋によって瞬く間に踏み潰されて
いってしまう…。

「わしは今昼寝で忙しいのじゃ」

「さっきからなんですか。ニヤニヤして…」

休憩中、汚れた足袋を洗濯機に
放り込むたぬ代。しかしその内部
には葛狐によるワープポータルが
設置されていた…。

別の場所に転送されるたぬ代の汚れた足袋…。
こちらの世界より遥かに小さなその世界では、ほぼ大陸と同じサイズと
なった足袋が地面にべちゃりと横たえていた。
たぬ代の汗がじっとり染み込んだクソデカ足袋は一瞬で何十もの国を
押し潰し、そこに住んでいた人々ごと大都市を地面深くに圧縮してしまう。
もはや人類にはどうする事も出来ない超巨大な足袋。たぬ代の汚れた足袋
置き場となった大陸では、人間達はわずかに残った無事な地域で充満する
足の臭いに苦しめられながら生きていくしか無かった。

「あ～～。もう廊下もゴミだらけ！あとで掃除しないと…」

たぬ代の汗まみれの素足がいくつもの縮小都市を
踏み潰していく。先程は運良く足袋の襲来を逃れた
都市群。しかし廊下を折り返してきたたぬ代の
じっとりとした足裏が容赦なくそれらを踏みにじり
磨り潰していった…。